Column

2021年3月16日
熱闘!代々木第二体育館
中三高 VS 春一番高(第一話)

もう首都圏で桜が開花したとか。
早すぎますよね。

私の小学校、中学校の入学式とか
まだしっかり桜咲いてましたからね。
4月の6〜8日あたりだったかな。
私の誕生日もこのあたりで、
毎年、桜が祝ってくれていた
記憶があります。
ところが、私の頭髪の後退とともに、
最近は4月を過ぎるとすっかり葉桜。
なんか複雑な心境です。

こういう話をすると
「おじさんは昔のことを語りたがる」
と、若者から煙たがられるようです。

仕方ないですよね。
だって振り返る過去が多いのだから。
最近のことは忘れちゃうし。
大目に見てやってください。

ということで、突然ですが、
連載を始めます。

1970年代後半の文化や社会背景を
思い出しながら書いた
架空のお話です。

続くか、すぐにやめるかは、
空気を読んで判断します。

それでは


<連載>激闘!代々木第二体育館
中三高 VS 春一番高(第一話)

1978年1月13日。ベスト4が出そろった。

第55回全国高校女子バスケットボール大会は、戦前の予想通り、中三高校(秋田県)、春一番高校(東京)、桃色学園(静岡)、元祖高校(大分)が順当に勝ち上がった。
明日の第一試合で春一番高校と元祖高校が、第二試合で中三高校と桃色学園が決勝進出をかけて激突する。
ここ数年、アイドル顔負けの容姿と実力を兼ね備えた選手が次々と登場し、その人気は高校野球以上といわれている高校女子バスケットボール。今大会は1回戦から決勝まで、注目のカードを中心に20試合、地上波による放送が組まれている。
ベスト4には、大会前からの注目選手が在籍する4校が残り、その加熱ぶりはピークに達しようとしていた。

ベスト4に残った4校のプロフィール

中三高校(秋田県/県立) 
出場回数:3年連続5回目
53回大会年ベスト8、前回大会優勝。今大会も優勝候補筆頭で連覇を狙う。注目は、1年生からレギュラーで活躍する桜田、山口、森の3人。得点感覚に優れたキャプテンの桜田、冷静沈着なオールラウンダー山口、安定したゲームメイクが光る森。中三トリオと呼ばれるこの3人のプレーは最終学年になってさらに完成度を増している。また、キャプテンの桜田は抜群の容姿とスタイルを誇り、試合会場は桜田目当ての男子学生で満員になる。
監督:阿久 
部員数:32名

元祖高校(大分/県立)
出場回数:6年連続13回目
高校女子バスケ界の名門。53回大会では、1年生だった天地、麻丘、南の活躍で4回目の全国制覇を果たしている。昨年は準決勝で中三高校に惜敗。3年生になった天地、麻丘、南は打倒中三高校を掲げ、今年もベスト4まで勝ち上がってきた。しかし、3人に昨年までのキレはなく、53回大会時の強さは影を潜めている。特に2年前、高校女子バスケブームに火をつけた天地の不調は深刻。噂によるとテニス部の彼氏にうつつを抜かし、朝練をさぼり、毎朝白い朝靄が残る木立の中のテニスコートで彼氏を待っているらしい。練習不足によるウエイトオーバーは明らかである。
監督:篠山
部員数:51名

春一番高校(西東京/私立)
出場回数:7年ぶり4回目
48回大会ベスト16。小柄ながら高度な技術とセンスを誇る伊藤、田中、藤村が入部して3年目。レギュラーに定着した3人の活躍により、7年ぶりの出場を果たす。1戦ごとに力をつけ、初のベスト4に進出。昨年夏からポイントガードを田中から伊藤に変更してから、チームのバランスが飛躍的に向上したことも躍進の要因。小悪魔的な伊藤、ポッチャリ系美人・田中、正統派美人の藤村の人気は急上昇。その人気は中三高校の桜田を凌ぎ、親衛隊まで結成されている。
監督:森田
部員数:40名

桃色学園(静岡/私立)
出場回数:初出場
根本、増田の2枚看板を擁し、今大会最も勢いに乗っている。1回戦登場時には酷評をかった派手なピンク色のユニフォームも、勝ち進むにつれ、今やバスケ少女たち憧れの的。ピンク旋風を巻き起こしている。根本の激しく躍り舞うようなドリブルとカットイン、増田のサウスポーからくり出す正確無比なシュートは他校にとって脅威。この二人でチーム全得点の8割をたたき出している。中三高校との準決勝が事実上の決勝戦との声が多い。
監督:都倉 
部員数:28名

明日の対戦を控え、それぞれの宿舎で、彼女たちは勝利のシナリオを描いていた。

ちなみに本日、女子に先行して男子の準決勝が行なわれた。
イケメン選手が多数在籍し注目を集めた御三家高校は、キャプテン・郷の不調もあり2回戦で敗退。玄人好みの実力派チームが残った。第一試合の「アリス学園」×「ツイスト高校」は、アリス学園キャプテンの谷村が終了間際に劇的なブザービーターを決め決勝進出。
第二試合の「後醍醐ハイスクール」×「安奈高校」は、戦前の予想を覆し、安奈高校のエース甲斐が43得点12リバウンドと大爆発。一躍大会のヒーローに躍り出る活躍を見せ、優勝候補の後醍醐ハイスクールを撃破し、決勝にコマを進めた。


つづく。