Column

2021年3月3日
キャッチャー桃野が思わず…。

私が小学校時代に所属していた
少年軟式野球チーム、
「Relic Hairs(レリックヘアーズ)」。

訳すと
「名残り髪(たち)」。

当時「がんばれベアーズ」という
野球を題材にしたアメリカの
ドラマが流行っていた影響で
付けられたのでしょう。

もしかしたら私の未来を予測して
命名したのかもしれません。

そのチームのキャッチャーで
キャプテンだったのが
「桃野」という男。

桃野はリーダーシップのある
頼れるキャプテンでした。

ただ相当短気な男でね。
怒る人が嫌いな私は
少し苦手にしていました。

その時私はショートで四番(自慢)。
時々リリーフピッチャー。

正直、桃野がキャッチャーのときは、
目立ちたがり屋の私も
マウンドに立つのが嫌でした。

少しでも悪いボールを投げると
すぐにプンプンと、さとう珠緒の
1000倍くらい怒るわけです。
萎縮してさらに調子が悪くなる感じ。

私の場合、少しぐらいおだてて
木に登らせておいた方が
結果は良かったんですけどね。

ある大事な試合、
2点差でリードしていた最終回、
ツーアウトでランナー1、2塁の場面。

あと一人打ち取れば
悲願のベスト8というところで、
我がレリックヘアーズの先発投手が
脚をつるアクシデント。

私がリリーフとして登板したわけです。
キャッチャーは当然、桃野。

悪い球を投げて、
桃野にブーブー言われるくらいなら
バッターに投げずに
試合を終わらせてしまえばいい、
と私は少ない脳味噌で考えたわけです。

そうです。
牽制球です。

私は1塁ランナーが
油断していると見て、
1塁へ牽制球を投げました。

野球を知っている人なら
分かるでしょうが、
ツーアウト1、2塁で、
1塁へ牽制球は投げません。
100歩譲って投げるなら2塁です。

その牽制球がなんと暴投。
1、2塁のランナーが長駆ホームイン。

なんと同点です。
やっちまった。

ガックリうな垂れながら
恐る恐る桃野をチラッと見たら
怒りを超えて、言葉を失っていました。


桃野、絶句。


遠い昔の「3月3日」の出来事でした。

ではでは。