Column

2020年12月24日
むかし遭遇したモンスターの話。


先日観た映画「ターミナル」の主人公
ビクター・ナボルスキー
(トム・ハンクス)のセリフ。

「人は皆、何かを待っている。」

そうですね。
今は多くの人が
コロナの特効薬やワクチンを
待ち望んでいるでしょう。

そして、
画期的な毛生え薬も(君だけだよ)。

しかしね…
個人差はあると思いますが
この時期、忘年会で遠慮なしに
はしゃいでいる輩が
私にはイカレポンチを通り越して
モンスターに見えます。


モンスターといえば…

どの時代にもどんな場所にも
出没しますね。

いつからかでしょうか。
手に負えない厄介者を
モンスターと呼ぶようになったのは。

モンスターペアレンツ
あたりからですかね。

実はこれ、
自分のものさしでは測れず
今でも理解に苦しんでいます。

私の小中学校時代、
学校の問題は学校で解決する、
が基本だったので、
先生に怒鳴られようが殴られようが、
イジメにあおうが、
親の出る幕などありませんでした。

先生や生徒から
とんでもない理不尽を受け、
それを親に言ったところで

「すべてお前が悪い」

と諭される始末。
言っても無駄でした。

「生徒の親が怖くて
教育なんかできるか!」

くらいの気概とか
プロ意識を持った先生が
きっといい先生なんだと
私は思うわけです。
世間離れした考えなんでしょうね。

さて、
今の仕事に就いて
30年以上経ちましたが、
いろいろなモンスターに
遭遇してきました。

ここ何年かは、
クライアントさんはもちろん、
同僚、協力会社スタッフに至るまで、
大変恵まれていまして、
獰猛なモンスターに遭遇することも
なくなりました。

昔は結構な頻度で出没してましたね。

今回は印象的な
クライアント系モンスター
の話を少々。

時効(現状業務に影響ない)
ということで。

その昔多かったのが激昂型。
「おこりんぼう将軍」です。

愛のある熱血タイプと
単なる自分のストレス発散・
八つ当たりタイプとか
おこりんぼう将軍にも
色々ありますけどね。

理不尽で厄介なのは、
当然後者のタイプ。

ただ、どちらにしても
この手のモンスターはまだ可愛い方。

凹むことは凹みますけど、
台風みたいなもので、
少々我慢しておけば意外と短時間で
過ぎ去っていきますから。

「雨降って地固まる」ことも
けっこうあったりして。

今の時代、おこりんぼう将軍は
かなり希少になってきましたね。

最も厄介なのはドSネチネチ系。

これは細かい人とか
拘りが強い人
ということではないですからね。
時間がある限り納得いくまで
やるのは当然のことです。
誤解のないように。

それとは別物です。

人がほとほと困っている
姿を見ることに
快感を覚えるタイプですね。

真っ先に思い浮かぶ人がいます。
ミスターハラスメント(仮称)
(以下ミスター)。
「コンプライアンス違反の商業商社」
のような人でした。

ミスターは
パワハラ、セクハラは序の口で
職権濫用、金銭着服も平気の平之助。
もう無茶苦茶な人でしたね。

当時私は、
一丁前にもコピーを書いてまして、
原稿の確認(校正)を
ミスターに送ります。

当然色々と赤字(修正)を
入れてくるわけです。
こちらも早く手離れしたいから、
言われた通りに黙々と
校正を重ねていき、
いよいよ校了も
「間近!」という頃、
「マジか!」という
修正が入ってきます。

「中盤部分の文章にパンチがない」

すでにOKになっていた箇所です。

ここまでくるとミスターの加虐性欲が
エスカレートして止まりません。

パンチをクリアしても

キックがない、
チョップがない、

と、もう次から次へと
抽象的な必殺技が
繰り出されてきます。
もうデビルマンです。

全く先が見えなくなってきます。

いよいよ心身ともに限界を感じた時、
「はい。修正します」と
返事だけして、もういっさい、
一文字も修正せずに、
翌日、しれ~と「修正版です」と
FAXを送りました。
(まだメールがない時代)。

ほどなくして
電話がかかってきました。

抽象的な必殺技が来るかと思いきや
な、なんと


「だいぶ良くなったよ。OK」

はあ~っ。
もう一度、はあ~っ。

皆さんもご一緒に、
はあ~っ。

わかりますよね。
ミスターのOKは、自分の加虐性欲が
満たされた時なのです。
もしくは他のターゲットが
見つかった時です。
それまでは解放されません。

若かりし頃、
10年以上苦しめられました。

色々な意味で鍛えられたので
少しは感謝してもいいのかな。

次は完全ドSの人。

色校正の段階まできて、
突然、どうでもいい修正を
平気で言ってくる方がいました。

「商品写真のエッジが少し甘い」
「トリミングを1mm弱下に」
「青みをほんの少し弱く」
「キャプション文末の句点は削除」

はあ~っ。
納期を犠牲にしてまで
対応するような修正は
ひとつとしてありません。

物理的に再校を取る時間など
ありません。
それはこの方も十分承知の上で
畳みかけてきます。
私が逆上することなど絶対ないことも
計算済みなんでしょう。

「もう納期に間に合わないので
そこは勘弁してくれませんか」

「ダメです。必ず修正してください」

毎度毎度、
私が困り果てている様子を
ニタニタニタニタしながら
見ているんですよ。

快感に満たされた表情で。

その表情が、
「ムカつく」を通り越して
不気味で恐怖でした。
妖怪ブッキーニ!

ドSネチネチ系は、台風のように
簡単には過ぎ去っていきません。
ひたすら鬱陶しい雨を降らせる
低気圧のように居座り続けますから。
直属の上司だったら最悪ですよね。


その他この仕事の“あるある”としては

「校了ですね。
これで予定通り明日印刷に回せます」

という段階で、

「最後、上長に確認とりますね」

というパターン。

とてつもなく嫌な予感…。
このタイミングで
上長確認はまずいでしょ。

予想通り

「上長出張中で確認できません」

とか。

在席していたとしても、
何か問われたり、
確認依頼を受けると、
な~んにも考えてないのに、
自分の存在アピールのためだけに
何か言わないと気が済まない
人がいますよね。

「そうだな。
全体的にもう少しブライトに」

とか

「しずる感が欲しいね」

とか。

はあ~っ。

しずる感って言葉を覚えて
使いたかったんでしょうね。
工場の建物写真と
会社名しかないデザインなのに。

まあ、ここに上げた
モンスターさんたちは一例です。
色々と遭遇してきましたけど、
この歳になると懐かしい
良き想い出です。


もしかしたら
若い担当者の間で
私がモンスター呼ばわりされて
いるかもしれません。

「おしゃべりモンスター」とか。

ではでは。
メリークリスマス