2017年7月25日 渋谷駅「ここは何処?」
「東京には県庁所在地がたくさんある」
数十年前、新潟から上京してきた人間が、ぼそりと言った。
正確には「東京には、新潟駅のような大きな駅(街)がたくさんある」
ということ。
「新潟駅周辺に行くと、かなりの確率で同級生と遭遇した」とも言った。
ショッピングをして、小洒落なカフェでお茶をして、映画を見て、食事をして、酒を飲んで帰る。
地方では、こうした休日の過ごし方をできる駅(街)がどうしても限られてしまうから、
おのずとその確率も高くなる。
確かに、私も高校の時は所沢駅に行くと、
誰かしら同級生と遭遇していた記憶がある。
東京では同級生との遭遇など、未知との遭遇的な確率だから。
新宿・渋谷・池袋なんて、
それこそ、およそ2キロおきに札幌、仙台、博多があるようなもの。
この3駅、いろんな意味で怖い街。
初めて足を踏み入れた人は間違いなく迷う。
特に地下鉄で来た場合、地上に出ることさえ容易ではない。
下手したら遭難する。本当ですか?
「そうなんです」はい。
携帯のない時代、
中学2年の時に初めて新宿に行った時、
待ち合わせた友人と逸れて2時間さまよい歩き、泣きそうになった。
中学3年の時、池袋で「“お得”な映画鑑賞券を買わないか」と、
怖いおじさんから“法外な値段”で買わされそうになり、ダッシュして逃げた。
高校1年の時には、新宿の裏通りでカツアゲをされた。
帰りの電車賃だけは残してくれと懇願したら、顔面を蹴られた。
おそらくチンピラ君は、懇願に腹を立てたのではなく、
財布に2000円しか入ってなかったことに腹を立てたのだろう。
怖いですね〜。稲川淳二の怪談話よりはるかに怖い。
この3駅は別格としても、新幹線停車駅の上野・東京・品川、
他にも、浅草、銀座はもちのろんのこと、錦糸町、赤羽あたりも
ビッグターミナル(タウン)と言えるだろう。
23区外でも町田、吉祥寺、立川、八王子なども、
ちょっとした地方だったら、1県に1駅あるかないかと言った規模である。
世界都市総合ランキングで、ロンドン、ニューヨークに次いで3位。
世界都市圏(東京-横浜)人口ランキングでは1位。
感覚が麻痺しているけど、東京はある意味とんでもないお化け都市である。
ところで私が毎日通勤で下車している渋谷駅。
東横線を利用しているわけだが、
地下鉄と乗り入れになった数年前から全くもって不便になった。
東横線渋谷駅のホームは地下5階へと移動となり、
地上に上がるまでに3〜4分かかるようになった。
階段の段数にして100段近い(と思う)。
毎朝金毘羅さんを歌いながら登っている。
個人的に一番痛かったのは、渋谷駅が終点・始発駅ではなくなったこと。
始発駅の時代は、1本でも待てば確実に座って帰れた。
疲れた体には本当にありがたかった。
ところが、乗り入れになってからは、ほぼ座れなくなった。
さらに、ここにきて再開発の工事真っ只中で、
知らないうちに地上に上がるまでの通路が変わっていたりする。
この1〜2年で3回は変わっているんじゃないかな。
意図的に「年寄りを困らせよう」「迷子の人を増やそう」キャンペーンを
しているんじゃないかと思うほど。
ひとつ曲がり角、ひとつ間違えて、迷い道くねくね。
その度に「ここは何処?私は誰?」状態になる。
さらに、さらに、私のオフィスが3年前に道玄坂のてっぺんに引っ越したものだから、
10分間、延々と坂道を登って行くことになる。
階段を100段上がった後だからね。
もうね、ここまでくるとちょっとした登山。
特に夏はキツイ。毎日、遭難しそうになる。
本当ですか?「そうなんです」。
ではでは。