2017年6月28日 若い力
「若い力」という歌をご存知だろうか。
小学生の頃、運動会のたびに歌わされていたが、
今の小学生も歌っているのだろうか?
さて、
去る土曜の夕暮れ時(16時くらいかな)、野暮用で自宅マンションを出たときのこと。
アプローチ付近で中学生か高校生のカップルが、立ち話をしていた。
女の子は見たことのある佇まいだったので、おそらくマンションの居住者。
男の子は自転車で、籠には大きなスポーツバック。
「こんにちわ」と挨拶すると、
二人とも爽やかに「こんにちわ」と。
悪い子たちじゃない。
想像するに、同じ学校で部活の帰り道。
彼氏が彼女を自宅まで送ってきたところだろうか。
彼女の自宅前まで来たが、お互い「じゃあーね。また明日」の一言が言えない。
1分でも長く一緒にいたいのだろう。
「わかるよ、わかる。君たちの気持ち。マンションの真ん前で邪魔だ!なんておじさんは言わないから」
と心の中で声をかけながら、私は勝手に気恥ずかしくなり、急ぎ足で駅へと向かった。
野暮用を済まし、18時くらいにマンションに戻ると…
な、なんと!さっきのカップルが、まだ、立ち話をしている。
若い力だ。
若いからこそできる芸当だ。
今の私だったら30分位で腰が痛くなって、脂汗を流しているだろう。
思い出すな〜。うん十年前の高校時代。
彼女は自転車通学で、私は電車通学。
彼女が私を駅まで送ってくれた格好だ。
体は毛深いが、心臓には産毛すら生えていないウブな私は、
二人っきりになると、すぐに頭が真っ白。
口から出る言葉は、とりとめのない、ただ、ひたすらにつまらない話題ばかり。
それでも前述のカップル同様、まだまだ一緒にいたい。
指先で少し肩を突かれただけで
「幸せ者だー!」と
私は埼玉の片田舎で幸せを叫んだものだ(もちろん心の中で)。
「何分の電車に乗る?」と彼女。
「45分だけど、その次でいいよ」と私。
結局、その後10本の電車を二人で見送った。
15〜20分に1本だったから、2時間以上、駅前で立ち話をしていたことになる。
お互い部活で厳しい練習を終えた後に、2時間以上の立ち話。
若い力だ。
地位や富には、それほど嫉妬をしなくなった。
しかし、若さだけには嫉妬してしまう自分がいる。
これだけは絶対に取り戻せない。二度と手に入れることはできない。
19時過ぎに夕食を終えた時、
「もしや…」と、そっと玄関を開けて、廊下からマンションアプローチを見下ろしてみた。
いた。
カップルは同じ位置で、まだ、立ち話を続けていた。3時間超!
おそらくその気になれば、翌朝まで続けられるだろう。
若い力があれば。